兼業・副業は広がるのでしょうか。
広がるか「兼業・副業」、優秀な人材獲得の切り札にも(日刊工業新聞2017年8月4日)
政府が働き方改革実行計画を策定したのをきっかけに、本業以外に仕事を持つ「兼業・副業」が注目されている。兼業・副業は収入が増え、経済の好転につながるが、働き方改革で解消を図る「働き過ぎ」も懸念される。実践する人たちを取材し、両立のノウハウと兼業によって本業も活性化する可能性を探った。
本業も活性化しないといけないみたい。
第一に企業風土の問題。サイボウズとソニーともに兼業・副業を許可し、現場も受け入れている。「ソニーは現場レベルで、個々の活動や個性を認めて、(お互い)がんばろうねという雰囲気がある」(正能さん)。
どんな雰囲気なんだろう。
一方、経済産業省の調査「働き方改革に関する企業の実態調査」によると、「現在認めている」「現在認めていないが、認めることを検討中」「現在認めていないが、(一定の懸念が解消されれば)認めることを検討する」と肯定的な企業が64・1%を占めた。
現在兼業・副業を認めていない企業は8割以上ですね。
兼業・副業を認めている会社は少ない
兼業・副業を認めている会社の従業員の働き方ってどんな感じなんでしょう。残業や休日出勤は全くないと会社が宣言しているのでしょうか。ネットでの副業なら認めても本業に影響はないかもしれませんが、会社組織での副業ならその会社にだって仕事の時間は守らないといけないし。
今の日本の会社は、人をマシンモデルとして機械のように時間当たりの生産量でしか評価していません。そして受注の繁閑調整や失敗のリカバリー、予測不能な事態のために従業員の残業や休日出勤を使って生産を調整しています。つまり労働可能な時間は、会社の非常時や失敗の回復のために差し出されることを暗に要求されています。全人格労働ですね。そのような会社が管理職も含めた従業員全員に兼業・副業を認めるなどとは思えないんですが。
サラリーマン的思考の経営者
本来、会社はマシンに見立てた従業員が働いているだけでは先細りになるので、イノベーションを発揮できる人材が必要で、その創造性を伸ばすためには労働に囚われない知的思考の鍛錬が必要です。兼業や副業、ボランティアや地域活動への参加などは創造性を高めるためには奨励されるべきもので、兼業や副業の解禁が人材獲得につながることは一理あると思います。
が、日本の多数の会社は、経営者は、そこまでイノベーティブじゃないですね。短期的な利益にしか関心が向かわず、たとえ利益を出していても短期的利益を求めるためのコストダウンや人件費削減の施策を取り続け会社を疲弊させていく。サラリーマン的思考、雇われ人的思考から脱皮できないまま経営者になっています。
自分の身を守るために兼業・副業を
兼業・副業が広がるのかと思案するより、労働者がすべきことは自らのセーフティネットを作るために本業以外の副収入を得ることだと思います。会社が認めるのを待っているのは、あまりにリスキーで、そのうち人生が終わってしまいます。もちろんたいていの会社では兼業・副業を認めていないので、兼業・副業をすることもリスキーですが。
経産省の施策(働き方改革実行計画概要)にも兼業・副業を広げようとの意図があります。その方向性は正しいと思いますが、企業側への働きかけだけでは不十分です。例え兼業・副業が一般的になっても、それは遠い未来の話ですよ。労働者としては自分の身を守るために一企業に依存する働き方を考え直しましょう。