英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」で発表された論文によると、フランスでは歩行者が10回に4回の割合で、信号無視をして横断歩道を渡る。一方、規律正しい日本ではその割合はフランスの20分の1だったという。
調査では仏東部にあるストラスブール大学(University of Strasbourg)のセドリック・シュウール(Cedric Sueur)氏が中心となって、ストラスブール(Strasbourg)の3か所および名古屋の4か所の横断歩道で、歩行者の行動が分析された。
調査期間中に記録された、歩行者が横断歩道を渡った回数は、ストラスブールで3814回、名古屋で1631回だった。
赤信号で横断歩道を渡った割合はフランスで41.9%、日本で2.1%と二国間で大きく異なっていた。男性や20~30代が信号無視をする傾向が強かったという。
シュウール氏はAFPに対し「フランス人はあまりルールを尊重せず、社会的認知をそれほど気にしない」「違反に対する罰則への恐怖心がフランスより日本の方が強いわけではない。(日本の)人たちの方が他人の意見をより気にしていることを示している」と述べた。(c)AFP
信号を守らないフランス人と信号無視をしない日本人
赤信号で横断歩道を渡る割合はフランスで41.9%、日本で2.1%だそうです。確かに日本では明らかに車が通ってない、細い道でも赤信号を守って渡らない人はいますよね。対して、フランス人は4割が信号を守らないそうです。フランスに限らず欧米人は同様かも知れません。
私(皆さんも)は日本人ですから、この赤信号を守る感覚はよくわかります。ルールだから守らなければならないと言う思いは確かなんですが、早く進みたいと言った自分の欲望を満たすために、社会で決められたルールを破ることがどうもわがままな行為で、子供じみてて、恥ずべき態度だと感じるんですね。警察に捕まるから、注意されるからと言う理由ではなく、お天道様に申し訳ないと言うか、アウトローな人間にはなりたくないと言うか。心の中の倫理観の呪縛が赤信号を守らせるんですね。いわゆる恥の文化と言うものです。
私はフランス人ではないので、ここは想像ですが、フランス人が信号を無視するのは、道を渡る個人の利益と、道を渡る危険性と、車が通っていないことの確認による安全性を比較して、合理的な判断をしてるからだと思います。思うだけですけど。普通そうですよね。世界的にそうだと思います。あまりに簡単すぎる合理的判断ですから。
倫理観へと変わるルール
遵法意識の高い日本の国民性は、他国にはない優れた美徳として度たび取り上げられます。それはそう思います。私が経営者なら、フランス人より日本人を雇います。会社のルールはきっちり守りますから。そのルールに会社への貢献、社会への貢献、従業員の生活を守るためと言った他の人たちへの奉仕意識を結びつけると、そのルールは倫理観へと変わり、人の行動と考え方を拘束します。その拘束は自戒的で上司や会社からの指示がなくとも、ルールに従い続けます。40年くらいはね。
そう言った遵法意識の高さが日本の経済成長に繋がったのだと思います。質の高い労働者がたくさんいたから。
ただ、横断歩道の例で言えば、安全かどうかの判断はそこにはない。ルールを破るかどうかの判断はあっても、車にひかれないか、怪我をせずに渡れるのかの判断はありません。ルールがあまりに大きな重要性を持つために、本質的な問題を考えていないのが日本人の思考の問題点です。
すべてをフラットに考える
日本人は労働者としては優秀です。でも経営者としてはどうでしょうか。赤信号を守ってていいのでしょうか。「ルールなんか無視して、多少ズルしてでも利益を追求しろ」と言う意味ではありません。ルールも誰か、どこかの大人の人たちが決めたものです。横断歩道を渡ろうしているあなたも、待っている人も個人の判断で自由にふるまえる大人です。すべてをフラットにして考えた方がいい。置かれている環境と、自分の利益と、受けるペナルティとを全て勘案して判断した方がいいです。ルールも検討項目の一つに過ぎません。
会社を辞めると労働者ではなくなります。個人事業主になるのならもちろん、届を出していなくても、収入と支出をコントロールする必要があるので経営者と同じです。優れた経営者になるためには、つまり早期退職やセミリタイアで「成功」するためには、労働者ではなく経営者としての判断が必要です。信号は盲目的に遵守する権威ではなく、信号と私は対等な存在なんだと認識する必要がありますね。
コメント
同感です。日本企業が不効率と言われる所以ですね。
>高山さん
コメントありがとうございます。
そうですね。日本企業の効率性はまだ上げられると思いますね。