サラリーマンの成功とはサラリーマンを辞めること

サラリーマンとして40年くらい働くとして、どうなったら成功したと言えるのでしょうか。考えてみましょう。

日本の平均年収は420万円です。男性に限ると520万円。公務員で600万円。公認会計士で800万円、医師で1100万円。

どうでしょうか、年収が1000万円を超えたらサラリーマンとして成功したと言えないでしょうか。比率では1000万円を超えているのは、サラリーマンの4.3%です。

実際に年収が1000万円を超えている人は、支出もそれなりに多いので、生活の余裕はあまり感じていないのかもしれませんが、年収1000万円と言うのは一つの目安になりますね。

社員に1000万円の給料を支払える会社と言うのは、それなりに儲かっている会社ですね。業績が良くて、福利厚生も割と充実している大企業。そんな会社でしょうか。

それなりに儲かっている会社とは、黒字の会社ですね。1000万円の給料をもらう社員は、おそらく会社に1000万円以上の利益をもたらしています。黒字ですから当然です。社員の給料を支払ったもまだ、お金が余っていますから。それで、高い給料をもらって、会社も利益が出て、Win-Winの関係ですね。

Win-Win。本当ですかね。Win-Loseじゃないでしょうか。だって会社は1000万円以上の利益を上げているのに、労働者はそれをもらえないんですからね。会社での仕事の成果は全て「会社の成果」です。自分の給料以上の成果を上げても無条件で会社が取っていきます。労働者に支払われる報酬は労働力に対してだけであって、労働者の創造性や進歩性は報酬の対象ではなく搾取の対象です。

人より何かしらできること、誰も思いつかないような発想、忍耐で積み上げられた努力の果実、これらは全て搾取対象です。何か頑張ったな、良くできたなと思ったらそれらは全て会社に搾取されていると思って正解です。

会社とは、労働者個人が持っている優れた点の上澄みを掬い取って、利益を上げるのが目的の組織です。会社に所属するとは、その搾取構造を理解し、自分が上げた利益の多少にかかわらず、労働力の対価としての給料のみを得て満足すると言うことですね。

では会社が赤字のときはどうでしょうか。短期的には赤字でも同じような給料が支払われます。でも赤字では長期的には会社は存続できないので、解雇や給与カットが行われます。儲かっていても給料の上限は頭打ちで、儲かってないと最悪解雇のように給料が0になる。あまりに労働者に不利な条件ですね。

年収1000万円で給料が多いと感じるのは、単に大半の労働者が生活できるギリギリの給料を与えられているから、それと比較して多寡を感じるだけです。逆に給料の少ない労働者は会社に搾取されていない、ある意味「儲けている」労働者なのかもしれません。

年収1000万円を超えるような会社を儲けさせている労働者は、余裕のある生活のために搾取を感じないのかもしれません。でもそれを成功と呼んでいいのでしょうか、そこを目指していいのでしょうか。会社に積み立てられた搾取の成果である内部留保は、大半は、最終的には全て経営の失敗の補填に使われます。会社っていずれ潰れますからね。資本を積み上げ続けて、無限に大きくはなっていかないです。

サラリーマンの階層は、資本家による狩場です。いくら優秀な人材でも与えられる餌には上限があります。サラリーマンの成功とは年収を上げる事ではなく、その狩場から早く逃げること、つまりサラリーマンを辞めることですね。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする