映画「ファイト・クラブ」と無職との親和性

ブラッド・ピット主演の1999年の映画です。

映画の名前は知ってたんですが、観てなかったです。今回初めてAmazon Primeで観ました。

19年前の映画を初見で観るとは……。今から観れる映画がたくさんあって、逆に幸せなのかもしれません。

映画の名前からして、喧嘩好きの男たちが繰り広げるワイルドアクション映画かなと思ってたんですが、全然違いました。

この映画のFightとは喧嘩と言うより、素手でやるボクシングに近い。怒りや憎しみなく、殴り合うFight。そのFight を場末のバーの地下で、日夜繰り広げてるClubの話です。殴り合いは、うっぷん解消のためと言うより、現代の物質社会や消費社会からの解放のためです。

消費社会からの解放を暴力で表現するのが斬新ですね。19年前の映画を「斬新」と呼ぶのもなんですが。リーダーのタイラーの言葉「人間は朽ちて行く有機体」。社会的地位やモノ、突き詰めると自分の体にさえ執着しないその姿勢。その姿勢が共感を得て、多くの人が集まって来ます。暴力的でありながら、仏教的な思想も感じます。映画の見出しの説明通り、価値観がひっくり返る感じですね。

この消費社会からの解放と言う考え方に、何か今の生活と似たようなものを感じます。今は節約生活をしてるので、あまりモノを買いません。会社に行かず誰とも会わないので、見栄を張るようなモノを買うことがないです。買ってもそれを見せる相手がいないんですよね。社会的地位もないです。上下関係もない。たかが会社の役職が上だと言うだけで、上から目線でものを喋る人間がいません。

会社を辞めると言うことは、収入がなくなると言うのが最大のトピックとして上げられますが、人間の社会生活の負の面から解放されると言うのも一つの側面としてありますね。見栄を張る、仲間外れ、いじめ、嫉妬、上下関係。そういうのが今の生活には一切ない。無職のすがすがしさと言うのは、人間の社会性の暗黒面から脱出できたことの解放感なんでしょう。この映画を見て、改めて人として正しい道を歩んでるなと感じました。

無職が正しいと言うより、現代のサラリーマン的生活が間違い過ぎてるんじゃないでしょうか。閉塞感で満ち溢れてます。もう少しだけ、改善できればサラリーマンでも人間らしく生きていけるのに、と外野からは思います。でもそれを改善するのは経営者の仕事なのでね。泥棒が泥棒をしないように努力するようなもので、不可能に近い事なのかもしれませんね。