日産の無資格検査問題に見る日本企業の闇

日産が38年前から無資格検査を行っていたようです。

日産自動車は17日、新車の無資格検査問題を起こした原因の究明と再発防止策をまとめ、国土交通省に報告書を提出した。不正は最も古くて38年前の昭和54年から本体の栃木工場(栃木県上三川町)でされていた可能性があり、正規の完成検査員の不足を経営陣が認識せず、組織として規範意識が薄かったことが原因だったと結論づけた。

再発防止策として、正規検査員を80人以上増やし、検査スペースに無資格者が出入りできないよう顔認証で管理することを盛り込んだ。完成検査員の教育内容や試験方法も見直す。

日産、不正は38年前から 国交省に報告書提出 原因は検査員不足、規範意識希薄 再発防止策も発表(産経ニュース)

日産自動車の報告書はこれ。

当社国内車両製造工場における完成検査に係る不適切取扱いに関する実態調査及び再発防止策検討結果報告について(日産自動車)

原因が検査員不足と言うのは不思議ですね。実際に検査しているんだから、検査員の数も技能も足りていたと思いますけど。それも38年間も人員不足なんて、そんなことありえないですよ。38年前ていつの時代ですかね。ハコスカとかあったときでしょうか。

AUTOart 1/18 日産 スカイライン GT-R (KPGC10) チューンド・バージョン (シルバー)

この車も無資格検査員で検査した車ですから、もう伝統と言ってもいいですね。

再発防止対策で正規検査員を80人増やすそうです。でもこれ、新たに人を80人雇うわけじゃなくて、今の補助検査員を正規検査員に認定するのでしょうね。検査員教育して、試験受けて認定です。実際の検査を長年行っている人間なんだから、おそらく簡単に認定できるでしょう。技能的には何の問題もない。そんな簡単なこと、なぜいままでやらなかったのでしょうか。認定すればよかっただけの話です。試験に落ちても、何回か教育すれば必ず受かりますよ、社内試験なんて。

課長レベルでも、補助検査員が完成検査をしていることを知らなかったそうです。そんなことありますかね。補助検査員が押すための正規検査員印鑑の貸し出し帳を作って、管理しているのにですよ。常態化している現場の状況を、管理職が知らないなんてありえないです。それも全工場で。今回の問題は一部の部署が行ったことではないですからね。会社全体で同様のことが行われているんだから、組織的な問題がそこにあるはずです。

ここに日本企業の闇があると思います。検査自体は技能を持った人間が行っていて、品質的な問題はないけれど、「正規検査員の増員」はできなかった。少ない人員で効率的な検査を行っている体裁をとる必要があった、と言うことでしょうか。工場はうまく運営されていて、コスト的にも品質的にも問題はない。でも、経営層には実体以上に良く見せる必要があった。その苦肉の策が補助検査員による検査だったのでしょう。

こういう長期の不正は、もし過去の課長レベルが知っていたとしたら、今は部長、取締役になっているはずですから、全社的に知っていたと言うことになります。だから課長レベル以上は知らなかったことにしないといけない。知っていたと思いますけどね。全員知りながら、不正を犯していた。でも実体としては、品質的な問題はないので誰も問題視しなかったと言うことでしょうか。

経営層になぜ実体以上に良く見せる必要があるのか。目標に設定された人員削減やコスト低減を「必達」する必要があるからですね。できもしない目標を「コミットメント」させられて、最終的にはどこかで数字合わせをして目標を達成したことにしないといけない。それが日産の場合は正規検査員の人数であり、三菱自動車の場合は燃費であり、東芝の場合は利益額であったと言うことでしょう。経営者がどこに注目するかによって、その会社がどこで不正を働くかが変わる。滑稽だけれど、笑えない。笑えないです。これらの大企業には何万人もの従業員が働いています。家族や下請けを含めると膨大な人数です。経営者のあまりにも低い経営能力のために、多数の人間が路頭に迷うかもしれない。

日本の企業に自浄する能力はないのじゃないかと思います。経営を、「業績連動報酬」と言うニンジンを目の前にぶら下げて、「必達目標」と言う鞭で尻を打つようなことだとしか考えていない経営者。従業員は叩けば走る奴隷だとしか考えていない。今の経営者は奴隷出身のため、奴隷に対するマネジメント手法しか身に付けていない。だからこそ、奴隷出身の経営者は悪意なくとてつもなく大きな失敗を犯します。

早く逃げた方がいいですね。経営者が次にどこに注目するかわからない。経営者が目を向けたところが、次の失敗の場所です。特に熱意を持って取り組んだりすると、経営の失敗だけでなく刑事罰にさえ問われます。次は自分が不正の片棒を担がされるかも分からない。今や会社とはリスクの塊です。今の経営者に自分の人生を預けるなんて、もう怖くてできません。

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コメント

  1. deefe より:

    日本企業もバブル崩壊や最近のグローバル化で全敗しておかしくなったのかと思いきや、38年前となるとそうとも言えなくなってきた。
    しかもまだましだと言える車業界でこれか
    社会貢献、従業員や客の幸せなど企業理念できれいごと並び立てて、その実従業員を奴隷としか見てなかったのかと思うとこの国はなんなんだって
    すべてちゃぶ台がひっくり返されたような気がしてくる。

    • ナオユキ より:

      deefeさん、コメントありがとうございます。

      38年前からだと、バブルやグローバル化は関係ないですね。
      日本企業の本質的な問題なのかなと思います。